第7章 機械の保守
保守一般
この章では、保守を行う上での一般的な注意や、機械本体に使用されている購入品(弊社製作部品以外)の保守について、解説されています。
なお、この章に掲載されているパーツリストは標準品であり、納入機種とは異なる場合があります。
「パーツリスト」が別に添付されている場合、そちらを参照して下さい。
※「パーツリスト」は、全ての機械に添付されるわけではないため、この章で参考として掲載しました。
点検清掃時の注意
清掃・点検を行う場合は必ず電源を切り、他の人が操作盤にさわらないように札等を掛け、メインブレーカーを落とし、制御操作盤の扉に鍵を掛けてから作業を行って下さい。(分解作業時も同様)
注意 動作状態の点検・調整を行う場合、必ず制御操作盤に監視員を付け、
連絡を取り合いながら作業を行って下さい。
分解時の注意
エアー機器の交換や分解が必要になった場合、機内配管にエアーが残っていると、ナイロン製チューブを外すときチューブが暴れて大変危険です。分解時には必ずエアー抜きを行ってから作業にかかって下さい。
エアー抜きは本体取付のストップバルブを締め、エアー機器を数回動作させて下さい。
できれば1〜2年毎に行って下さい。
簡単な構造の機種(自然流下3枚弁方式など)の場合、自動機器に精通している人がいれば、自分達の手で行うことも可能です。
弁の調整やオーバーホールを行った場合、必ず投入設定の再設定が必要です。
設定方法は、別章「制御盤」の「ロードセル指示計の設定方法」の項を参照して下さい。
エアー機器
エアー機器には、なるべくきれいな圧縮空気を供給するよう心がけて下さい。
エアー機器にドレーンが浸入すると、凍結やゴミによる作動不良の原因になります。
ドレーン抜きは冬の乾燥期でも1日1回は必ず行って下さい。
特に湿度の高い時期には午前、昼、午後の3回以上行う必要があります。(主にコンプレッサー)
ドレーン除去の手間を省くには、エアードライヤーの設置が有効です。

エアー圧は、計量器本体に取り付けてあるレギュレータにて、4〜5kgf/cu程度に落としてあります。
必要以上の圧力はチューブ破裂の原因となります。
エアー圧を上げなければ機械の動きが悪い場合、どこかに異常があります。
よく点検して下さい。
エアーシリンダーの点検・調整を行う場合、電磁弁周りも同時に点検して下さい。
調整は、電磁弁周りに異常が無いのを確認して行う必要があります。
エアー漏れが無いか。スピードは適正であるか。等を重点に点検します。
スピード調整はスピードコントローラーで行います。

スピードコントローラーは図のように、エアーシリンダーに直接取り付けてある場合(カットゲート等)と、配管によって結ばれている場合(定量槽等)があります。
スピード調整は、殆どの場合エアーの抜け側の絞りを調整することで行っています。
シリンダーロッドの出るスピードを調整したい場合、シリンダーロッド側のスピードコントローラーにて行います。ツマミをねじ込んでいくと(時計方向に回すと)遅くなり、戻すと(反時計方向に回すと)速くなります。
ロッドの引っ込むスピードを調整したい場合、シリンダーヘッド側のスピードコントローラーにて行います。
ツマミをねじ込んでいくと(時計方向に回すと)遅くなり、戻すと(反時計方向に回すと)速くなります。
スピードコントローラー調整ツマミのロックは、ナット式と調整ツマミを押し込むタイプがあります。
調整を行う前には、このロックを外し、調整後はロックをして下さい。
定量槽には回転シリンダーが使用されているため、図と異なった形状をしていますが、調整方法は同じです。
電磁弁は、排気マフラーの目詰まりを忘れずに点検して下さい。
目詰まりを放置するとエアーシリンダーの動作が遅くなる、または動かなくなる場合があります。
特に、給油タイプのエアーシリンダーを使用している場合、目詰まりが発生しやすいようです。(最近の機種は無給油式になっています)
手動釦の動作も点検して下さい。
手動ボタンでエアーが切り替わらない場合、故障です。
分解清掃、または交換の必要があります。
電磁弁の手動操作方法はメーカーにより、また型式によりまちまちです。
エアーシリンダー調整時にとまどうことがないよう、操作方法は確認しておいて下さい。
以下は代表例での説明ですが、必ずしも説明通りに動作するとは限りません。
はっきり判断がつかない場合、弊社まで問い合わせて下さい。
SMC・CKD製の場合は手動スイッチを、手またはマイナスドライバーで90度回して操作します。回しきったところでロックとなります。
KKS(黒田精工)製の場合は手動釦を押すことで操作します。
ねじ込んでロックです。
最近使用されている機種は、ほぼ上記操作で動作すると思いますが、旧型式ではこの限りではありません。
駆動部品
駆動部品の保守点検を怠ると、異音の発生や重大な故障につながります。
また、駆動部品の損傷による修理は、多大な出費になることが多いものです。
常日頃からの点検清掃を心がけて下さい。

グリースの給油は1年毎程度を目安に行って下さい。
※軸受けユニットには無給油タイプもあります。その場合、グリース補給は不要です。
3〜5gf程度を低速回転中、または軸を手で回しながら行うと均等に給油できます。
注意 回転中の給油は大変危険です。絶対に危険が無い場合のみ、この方法で
行って下さい。できる限り二人一組で、手で回しながら作業して下さい。
作業はグリースガンにて行います。
給油前にはグリースニップルの汚れを落とし、内部に異物が混入しないようにして下さい。
グリースはゴールドNo.3(日本グリース)相当品を使用して下さい。(できれば毎回、同一銘柄を使用)
異音や錆が発生した場合は、早めに交換する必要があります。
軸受けユニットにガタが発生すると、駆動モータまでも傷める場合があります。
軸は2本のセットボルトで固定されています。定期的に緩みがないか点検して下さい。
運転開始からしばらくは伸びが発生します。定期的に張りの点検を行って下さい。

チェーンが伸びすぎるとスプロケットの歯の飛び越が起こり、最悪の場合スプロケットや軸の損傷(曲がり)、チェーン切れ等が発生します。また、油ぎれによりチェーンが錆びた場合でもこの様な事が起こります。
張り調整に際しては、軸の平行に留意し、たるみ量は軸間距離の3〜4%を目安に行って下さい。張り過ぎてもいけません。
(軸間距離300mmで12mm程度。図参照)
たるみ量
汚れがひどい場合は洗い油等で洗った後オイルに浸し、組み付け時にグリスを塗布して下さい。
チェーンを洗う場合スプロケットの清掃も同時に行って下さい。
チェーン継ぎ手のスナップリングは、なるべく図の方向になるよう取り付けて下さい。
スナップリング方向
スプロケットは殆どの場合、セットボルトにて固定されています。
運転開始から半年程度は、2ヶ月程度を。その後は1年毎程度を目安に増締めを行って下さい。
このセットボルトが緩むと、キーが抜け空回りしたり、キー溝に無理が生じてガタが発生し、軸とスプロケットが損傷するような事故につながります。
モーターの軸が損傷を受けると、モーター本体の交換が必要になります。十分注意して下さい。
注意 チェーンカバーを取り外しての運転は、大変危険です。絶対にしないで下さい