表示のふらつき
重量表示のふらつき、またはゼロ点の極端な変動が、ロードセル指示計・ロードセル・和算箱基板等の
不良により発生した場合、不良部品を見つけるのに苦労します。
部品不良での表示のふらつきは、計量動作とは無関係に常時発生します。
計量完了時のみ表示がふらつく等の計量動作に必ず関係している場合は、原因は他の所にあります。
ふらつき関連部品
指示計F800使用の制御盤 ※1993年頃から現在(1999年)も製造
@ロードセル指示計F800
Aロードセル信号ケーブル
当社作成のケーブルです。
0.3sq 6芯のマイクコードを使用しています。
Bロードセル端子台
ネジのゆるみがないか確認して下さい。
Cシールドケーブル(マイクコード)
当社で施工したり、お客様にて施工さたりしま
す。当社の支給品であれば、1.25sq 6芯のマイ クコードが使用されています。
+IN:印加電圧+10V(赤)
+ST: 〃 (黄)リーモトセンス
-ST:印加電圧 0V (茶)リーモトセンス
-IN: 〃 (黒)
+OUT:セル信号+ (緑) 0〜20mV
-OUT:セル信号− (白) 信号コモン
SH:シールド
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Cシールドケーブルの続き
D和算箱基板
この図では、逆さまになっていますが、配線(配管)
の関係で、下からロードセルケーブルが入っている
場合逆さまに取付られています。
上からロードセルケーブルが入っている場合は、
正常(文字)な取付になります。
Eロードセル
共和電業製 LUB-50KBが多いかと思います。
和算箱基板5P端子の赤(+IN)・黒(-IN)
緑(+OUT)・白(-OUT)はこのLUB-50KBに合わせて います。
ロードセルケーブルの色
ロードセルの線色は、メーカーにより全く異なる信号になります。
ロードセルの取説(または試験成績表)がある場合、必ず確認して下さい。
ロードセルメーカーと線色の参考
ロードセルメーカー
| 信号名と色 | ※当社使用 | +IN | -IN | +OUT | -OUT | シールド | @〜D種 | ORIENTEC | オリエンテック | 赤 | 白 | 緑 | 青 | 黄 | @ ※ | Shinkoh | ミネベア | 赤 | 白 | 緑 | 青 | 外被 | @ ※ | KYOWA | 共和電業 | 赤 | 黒 | 緑 | 白 | 外被 | A ※ | HBM | ユニパルス | 緑 | 黒 | 白 | 赤 | 黄 | B ※ | BLH | ミネベア | 緑 | 黒 | 白 | 赤 | 黄 | B | SHOWA | 昭和測器 | 赤 | 青 | 白 | 黒 | 外被 | C | TEAC | ティアック | 赤 | 青 | 白 | 黒 | 黄 | C | PHILIPS | フィリップス | 赤 | 青 | 緑 | 白 | 外被 | D |
| |
※印は、当社で使用したことのあるロードセルメーカーです。
古いタイプのパッカースケールでは、オリエンテック(旧東洋ボールドウィン)が主に使用されています。
最近のパッカースケールでは、共和電業が主に使用されています。
その他のロードセル指示計
当社にてこれまで使用されたロードセル指示計には、下記の型式の物があります。
■ ユニパルス社 F800
■ ユニパルス社 F252
■ A&D社 AD4323
不良部品を探す
端子台のネジのゆるみ
ロードセル信号ケーブルの接続に使用されている、端子台のネジにゆるみがないか確認して下さい。
ネジのゆるみによる接触不良で、重量表示がふらつくこともあります。
電圧計測器で電圧(ロードセル出力・印加電圧)をチェック
ロードセル出力電圧
現在製造の通常のパッカースケールで、ロードセル出力電圧の概略説明をします。
主に秤量は、20kg計量です。ロードセルは、50kg(2mV/V)を3点吊りの構成になります。
指示計はF800が主ですので、ロードセル印加電圧は10Vになります。
当社の計量槽は、約40kg程度(被計量物でかなり重量差がでますが)とします。
MAXの150kg(50kgセルを3個使用ですから)時に、20mV(印加電圧が10Vなので2mV/Vの10倍になります)の
ロードセル電圧出力が得られる事になります。
1/10刻みで表にすると次表の一番左の列になります。
<パッカースケール・ロードセル出力信号電圧>
| 印可電圧10V | 印可電圧15V | | 上記例(現在) | | | 主に旧(ME-C11) | | 50kg3点10V | 50kg2点10V | 50kg3点15V | 50kg2点15V | | 2.0mV/V | 150kg=20mV | 100kg=20mV | 150kg=30mV | 100kg=30mV | | 1.8mV/V | 135kg=18mV | 90kg=18mV | 135kg=27mV | 90kg=27mV | | 1.6mV/V | 120kg=16mV | 80kg=16mV | 120kg=24mV | 80kg=24mV | | 1.4mV/V | 105kg=14mV | 70kg=14mV | 105kg=21mV | 70kg=21mV | | 1.2mV/V | 90kg=12mV | 60kg=12mV | 90kg=18mV | 60kg=18mV | | 1.0mV/V | 75kg=10mV | 50kg=10mV | 75kg=15mV | 50kg=15mV | | 0.8mV/V | 60kg= 8mV | 40kg= 8mV | 60kg=12mV | 40kg=12mV | | 0.6mV/V | 45kg= 6mV | 30kg= 6mV | 45kg= 9mV | 30kg= 9mV | | 0.4mV/V | 30kg= 4mV | 20kg= 4mV | 30kg= 6mV | 20kg= 6mV | | 0.2mV/V | 15kg= 2mV | 10kg= 2mV | 15kg= 3mV | 10kg= 3mV | | 0.0mV/V | 0kg= 0mV | 0kg= 0mV | 0kg= 0mV | 0kg= 0mV | |
| |
最初から40kg程度の計量槽が下がっているので、
ロードセル信号は(0kg〜20kgの重量表示の時)= 約5.3mV〜約8mVの電圧になります。
<パッカースケール・ロードセル出力信号電圧>
| ロードセル100kgの場合 | | 100kg3点10V | 100kg2点10V | 100kg3点15V | 100kg2点15V | | 2.0mV/V | 300kg=20mV | 200kg=20mV | 300kg=30mV | 200kg=30mV | | 1.8mV/V | 270kg=18mV | 180kg=18mV | 270kg=27mV | 180kg=27mV | | 1.6mV/V | 240kg=16mV | 160kg=16mV | 240kg=24mV | 160kg=24mV | | 1.4mV/V | 210kg=14mV | 140kg=14mV | 210kg=21mV | 140kg=21mV | | 1.2mV/V | 180kg=12mV | 120kg=12mV | 180kg=18mV | 120kg=18mV | | 1.0mV/V | 150kg=10mV | 100kg=10mV | 150kg=15mV | 100kg=15mV | | 0.8mV/V | 120kg= 8mV | 80kg= 8mV | 120kg=12mV | 80kg=12mV | | 0.6mV/V | 90kg= 6mV | 60kg= 6mV | 90kg= 9mV | 60kg= 9mV | | 0.4mV/V | 60kg= 4mV | 40kg= 4mV | 60kg= 6mV | 40kg= 6mV | | 0.2mV/V | 30kg= 2mV | 20kg= 2mV | 30kg= 3mV | 20kg= 3mV | | 0.0mV/V | 0kg= 0mV | 0kg= 0mV | 0kg= 0mV | 0kg= 0mV | |
| |
ロードセル印加電圧
ロードセルの印加電圧は、制御盤側で測定するのが簡単ではありますが、機械側の和算箱基板端子・ロードセル接続端子(なるべくロードセルに近い所)で計測して下さい。

和算箱基板が使用されている場合
図の状態で右から+IN,+ST,-ST,-IN,+OUT,-OUT,SHと接続信号線が決まっています。
前述の例
ロードセル50kg 2mV/V の3点吊り
ロードセル印加電圧が10V
計量槽40kgで20kg計量をする場合は左図のような電圧になります

ME-C11型 50kgf 2mV/V 2点印加電圧15Vの場合
和算箱に6P端子台が使用されています。
接続信号線の位置が決まっていないので、
左図の順序のようになっていないかもしれませんが、
線番が決まっています。
LL1-LL2間が印加電圧・LA1-LA2間がロードセル出力になります。
前述の表と同様の部品構成であれば、左図のような電圧になります。
ロードセル印加電圧が変動すれば、ロードセル出力にもそのまま影響します。
通常 20kg計量では、最小目盛が10gですので、20.00kg分解能
1/2000以上必要となります。
従って、印加電圧が1/2000以上変動すると、重量表示がふらつくと考えられます。
10Vまたは15V電圧で、0.01Vの桁が変動しているようであれば、印加電圧が不良であると考えられます。
1.000Vで 1mV が 1/10000になります。
専用治具(較正器・静ひずみ計)を使用する。
較正器を制御盤ロードセル端子に接続する。
上図のように較正器(図では、TPS-1811オリエンテック社)をロードセルの代わりに接続します。
ロードセルに接続すると表示がふらつき、較正器に接続すると表示のふらつきが止まる場合は、制御盤外部の部品(ロードセル・和算箱・シールド線)が不良だと解ります。
また、図のTPS-1811は、
0.0→0.1→0.2→0.3→0.4→0.5→0.6→0.7→0.8→0.9→1.0 mV/V
0.0→0.3→0.6→0.9→1.2→1.5→1.8→2.1→2.4→2.7→3.0 mV/V
の2種類で10段階の信号可変ができます。
ですから、重量表示値が出る数字の範囲内で、重量変化が正比例であることを確認することで、重量表示部品が正常であることを、より確信できます。
静ひずみ計でロードセルのひずみ値を計測する
ひずみの単位は、ストレーン(strain)です。
ロードセルのデーターシートと見ると、1mV/V≒2000×10−6ストレーンの記述があります。
当社は、主に定格出力 2mV/Vのロードセルを使用しています。
従って100%負荷時に4000×10−6ストレーンと言うことになります。
ロードセルは、正常状態であれば、無負荷で0×10−6ストレーンです。
ロードセルを無負荷で歪み値を計測した時に、1000×10−6ストレーン程度既にひずんでいれば、25%程度既に曲がっていて、元に戻れない状態であるといえます。
ロードセルが不良か、かなり悪くなっていると考えられます。
静ひずみ計で、無負荷ロードセル歪み値を測定した場合に、1000×10−6ストレーンを越えていれば壊れていると言うことではありません。判断の目安の数値として、計測データーと見比べて下さい。
当社の自動計量機の場合は、計量槽がありますので、無負荷でロードセルの歪み値を計測するのは、かなり難しい作業です。
パッカースケールの場合は、計量槽をはずして、吊金具をはずす必要があります。
現状が、そこそこ計量できる状態(表示ふらつきの幅が小さい)での、ロードセルの不良品を静ひずみ計で見つける作業は、かなり難しいと思います。
ロードセルが経年変化で悪くなる場合、症状が徐々に悪化するようです。また表示がふらついていたかと思ったら、良くなったりとかの現象もロードセルが不良の時の特徴のようです。
※ 自動計量機のメテナンスの経験上からのみの説明です。
ロードセル製造メーカーではありませんので、技術的な根拠はありません
重量表示部の入れ替え
重量表示部の予備品が手元にある場合、それを入れ替えてふらつきを見る方法があります。
但し予備品は、スパン較正が実機とほぼ同等に調整されているものでないと、表示のふらつきが分からない場合があります。

重量表示部品を交換したら、表示ふらつきが止まったとすると、表示部品不良と考えられます。
静ひずみ計を使用しての計測よりも、同等の予備品との入れ替えを奨めます。
2連筒以上のパッカースケール制御盤では、重量表示部が2個以上有るわけですから、入れ替える方法がより簡単にできます。
入れ替え部品・較正器・静ひずみ計等は、当社に連絡をいただければ貸し出し可能です。
※ロードセル信号はコネクターになっているので本体を入れ替えるのではなく
水洗清掃等、湿気に関係する作業を行っていないか?
計量機を蒸気洗浄・水洗等行った後(後日)に、発生するトラブルです。
和算箱基板の絶縁不良
ビーム型ロードセルの場合は、和算箱がロードセルより下方にある場合が多く、ロードセル側から進入した水滴が、和算箱内に溜まり和算箱基板が絶縁不良を起こします。(蒸気洗浄・水洗・台風:計6件発生)
処置
和算箱基板絶縁不良の場合は、和算箱内のロードセル配線等をはずした後、基板をはずします。
和算箱内部・基板・ケーブル等を乾燥させたあと、再度配線をやり直す事で、トラブルは解消します。
和算箱
アルミ鋳造製のBOX(旧)・市販BOX(新)を使用しています。
基板取り外しについては、「和算箱基板の交換」の項を参照して下さい。
ロードセルの絶縁不良
引張型ロードセルの場合は、和算箱がロードセルより上方にある場合が多く、和算側から進入した水滴が、フレックス内に溜まりロードセルが絶縁不良を起こします。(台風:1件発生)
数日経過後に、ロードセル内部が腐食(錆)にて故障した。
処置
ロードセルを交換しないと、トラブルは解消しません。
こちらの構造は、前述のビーム型とは異なり、ロードセル〜和算箱までは、パッキン等で隙間のない構造にしていますが、完全な密閉状態にはなっていなかったようです。
ロードセルとフレックスの連結部のコネクタをはずした際に、フレックス内部より水滴が出てきました。